
その9:お腹すっきり—便秘穴(べんぴけつ)
自然なお通じのある朝は、とても快適なものです。自然な排泄は、爽快感さえ引き起こしてくれます。しかし、便秘で悩む方はとても多いようです。特に注目すべきは、中高生などの若い女性に多いということです。清々しい気分で朝をむかえ、一日を軽快に過ごすには、まずは自然なお通じからです。
便秘で多いのは、「弛緩性(しかんせい)便秘」です。このタイプの便秘は、腸の運動性が弱いために起こります。太くて長い便の排泄は、弛緩性便秘の可能性が高いです。そういった場合、繊維素を多く含んだ食事と適度な運動が勧められます。繊維素で腸の中を刺激し、腹圧の変化で腸をマッサージします。できればこれらにツボ療法を加えてみてはいかがでしょうか。また、腸管の痙攣(けいれん)による便秘(痙攣性便秘)もあります。さらに便意をこらえることの習慣化や下剤の乱用により直腸の感度が悪くなって起こる便秘(直腸性便秘)もあります。痙攣性や直腸性の便秘は専門の先生に診ていただいた方がよいと思います。
便秘改善のツボが「便秘穴」で、へその真下指3本の位置から親指幅分左側にあります。このツボの刺激は排便行為の際に行ってください。両手の人差し指と中指を重ねて「便秘穴」に当て、小さな輪を書くようにしながらゆっくりと圧度をかけていきます。だいたい5秒ほどの時間をかけて押し込んでください。その後にみずおちから下腹部に向けて静かに腹圧をかけます。この動作を5回程度繰り返してください。やがて便意が強くなって排便に至ります。その日にうまくいかなくても次の日にと諦めずに続けてください。◇毎日ライフ2004年4月増刊号◇より
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その8:はっきり見える―睛明(せいめい)
ITの時代です。コンピュータが生活のあらゆる場面に登場し、多くの人々がそれを利用しています。当然、画面を見ることが多くなります。かつてコンピュータ作業によって起こる「VDT症候群」が注目され、医療的にも社会的にも問題視されました。現在では、作業時間の改善や画面の改良などでVDT症候群の患者は少なくなりましたが、それでも「目の疲れ」を訴える人は非常に多いようです。目の疲れは目を使う作業だけではなく、精神的ストレスによっても生じます。東洋医学では目の疲れが続くと、感情や情緒にも影響を及ぼし、イライラ、怒りっぽい、抑うつ状態になると考えています。逆にイライラ、怒りっぽいなどのような精神状態が続くと、目に疲れがでてくると捉えます。何となく目に疲れを覚えたときは、「睛明」を指先で押さえてみましょう。
「睛明」は、目頭にあります。まさに目が疲れたときに自然に目頭を押さえますが、その部位が「睛明」です。「睛明」の「睛」は目の意、「明」は明るい意、すなわち「睛明」は、はっきりと見えるようにする効果があります。
「睛明」の刺激だけでは効果がみられない場合は「太陽」を加えてください。「太陽」は、目尻から指2本外側の部位に取ります。そうすることによって目の疲れは回復し、情緒的にも安定することが期待できます。
「睛明」や「太陽」には8秒程度の「指圧」を5回程度してください。仕事の合間にしてみましょう。
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その7:旅を楽しく(乗り物酔い)-内関(ないかん)

「乗り物酔い」が心配で行楽や旅行をついつい控えてしまう、そのような悩みは比較的多いようです。乗り物酔いの主症状は吐き気(悪心(おしん))と嘔吐です。この乗り物酔いの有名なツボが「内関」です。
「内関」は、前腕にあるツボです。手首のしわ(手のひら側で横に走る横紋)の中央から指幅3本上(肘に向かって)のところで、親指側の腱と次の腱との間にあります。
「内関」の「内」は内臓の意、「関」は出入りの要所という意、つまり「内関」は内臓機能と深く関係するツボで、特に消化器系の症状の軽減に有効です。吐き気や嘔吐はもとより、食欲不振、軟便、上腹部の張った感じなどにも用います。したがって、つわりや癌の化学療法剤の投与時の吐き気の軽減を目的に用いたりもします。日常的には精神的なストレスによる食欲不振などに用いて効果があります。また、このツボは胸苦しさや胸痛にも効果的で、狭心症の発作予防にもしばしば用いられます。
ツボ療法は「内関」穴に指圧をします。少し強めの指圧(1回の指圧は6〜8秒間程度)を断続的に7回程度行います。また乗り物に弱い人の場合は、車に乗る前の30分前に米粒のような小粒のものを内関穴に当て、絆創膏で固定しておきましょう。◇毎日ライフ2004年4月増刊号◇より
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その6:肩を軽く肩井(けんせい)

「肩たたき」に象徴されるように、肩こりはもっとも身近な症状です。実際、肩こりを訴える人々は多く、様々な肩こりグッズが販売されています。
なぜ、日本人は肩こりになりやすいのか、不思議に思います。このことについての理由は明らかではありませんが、日本人は肩に対する意識が非常に高いことが影響しているのではないかという説があります。日頃「肩書」「肩をいからす」「肩を落とす」「肩をもつ」など肩をつけた慣用句をよく耳にします。こういったことが自然と肩意識を高め、いろいろなことを肩で受けとめる、そのようなことから肩こりになりやすいという考えです。
一方、肩こりを医学的にみると、肩の使いすぎ、頸椎(けいつい)の障害、内臓の障害、感覚器の障害など様々な原因で起こります。どのような原因かを明らかにしたうえで肩こりの治療をすることが望ましいと思います。ここでは、肩の使いすぎやストレスによる肩こりのツボ療法を紹介します。
肩こりの代表的なツボといえば「肩井」です。肩上部のほぼ中央にあります。「肩井」の「肩」は肩の意、「井」は陥凹の意、すなわち「肩井」は、肩でその下は井戸のように空洞になっているところに当たるツボです。実際、肩上の中央部の下は胸郭という大きな空洞があります。
「肩井」は、古来肩こりのツボとして親しまれてきた馴染みのツボです。肩こりは手作業でも起こりますが、精神的ストレスでも起こります。したがって肩こりをほぐすことは、心のこりをもほぐすことに通じます。「肩井」への「温灸」や指圧、あるいは「軽い肩たたき」をすると、気持ちがスーッとします。なお「肩井」への急激で強い刺激は、ときに脳貧血を引き起こすこともありますので、ソフトな刺激から始めましょう。
◇毎日ライフ2004年4月増刊号◇より
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その⑤:大椎(だいつい)
「風邪は百病のはじめなり」と東洋医学では言います。いわば風邪(かぜ)は万病の元というわけです。それだけに風邪を予防したいものです。
東洋医学では、風邪を風(ふう)の邪(じゃ)と捉え、身体を犯す原因とみなします。身体のバリア機能が低下すると、「風の邪」は容易にバリアを通過して体内に侵入します。そうなると様々な症状を引き起こしますが、その代表が感冒、いわゆる風邪です。
一方、体表のバリア機能を司っているのが、体表をめぐる衛気(えき)です。衛気は、身体を衛(まも)る陽気のことで、様々な外邪から身体を防御する働きをしています。この衛気の巡りをよくするツボが「大椎」です。
「大椎」は、第7頸椎(けいつい)と第1胸椎の棘突起(きょくとっき)の間にあります。首を前に曲げると首と背中の付け根に飛び出る椎骨があります。それが第7頸椎の棘突起です。「大椎」の「大」は文字どおり大きいという意、「椎」は椎骨の意、つまり大椎は大きな椎骨のことで、第7頸椎を指します。大椎は、手足の陽経(ようけい)が交わることから体表の機能を高める効果があるとされています。したがって、風邪(かぜ)から体を守るには体表を流れる衛気が充実していることが大切で、それには「大椎」のお灸が効果的です。風邪を引きやすい方、あるいは風邪のひきがけで寒気がするような場合、「大椎」の温灸をお勧めします。3壮(一度にすえるお灸の回数)程度がよいでしょう。ドライヤーで温めてもよいのです。なお、発熱状態の場合には、医師に診てもらってください。 
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その4:リフレッシュ—湧泉(ゆうせん)
一日一生懸命仕事をした後は、なんとなく下半身の疲れを主とした疲労感を感じます。特に立ち仕事に就いている人にとっては、下半身の重だるい疲労感がつらいことさえあります。長い時間立っていると足がむくみ、腰に重だるい違和感が生じてきます。まさに「なんとなく疲れたなぁ」といった感覚です。そんなときに効果的なツボが湧泉です。
「湧泉」は、足の裏にあるツボです。足指を足底側に曲げると足の裏に人の字が現れ、その交点に凹みができます。その凹みが「湧泉」です。「湧泉」の「湧」は湧くという意、「泉」は泉で、このツボを刺激すると生命エネルギーがコンコンと湧くという意味で、重要なツボのひとつです。一時、青竹踏みや健康サンダルが流行りましたが、今は足の裏のマッサージです。とても気持ちのいいもので、女性に人気があります。
「湧泉」は疲労回復の他にリラクセーションにも効果があります。3分間程度、「湧泉」を中心に土踏まず周辺をゆっくり指圧すると下半身から全身の疲労がスーッと抜け、とても身体が軽くなります。その日の疲れはその日のうちにとる、「湧泉」の指圧はそんなリフレッシュ効果が期待できます。夫婦で、親子で、どうぞ家族みんなでリフレッシュを。
◇毎日ライフ2004年4月増刊号◇より
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その3:三陰交(さんいんこう)
女性には、男性と異なり明確なライフサイクルがみられます。小児期・思春期・性成熟期・更年期・老年期といったライフサイクルがあり、それぞれのライフサイクルに応じた心身機能の特徴がみられます。小児期であれば、性成熟期に向かう時期だけに心身の不安定による症状が起こりやすく、性成熟期では妊娠・出産といった重大な出来事を迎えます。更年期から老年期にかけては、老化に起因した身体的な変化はもちろんのこと、精神的にも多くの問題を抱える時期に当たります。このように変化に富んだ女性の生涯を支えるツボが「三陰交」です。
「三陰交」は、脛骨(けいこつ)(すね)の内側にあるツボです。内果(ないか)(うちくるぶし)の最も高いところから指幅4本上で脛(すね)のすぐ際(きわ)に取ります。「三陰交」の「三陰」は足の厥陰(けついん)肝経、足の少陰腎経、足の太陰脾経の3つの経絡の意、「交」は交わるの意、すなわち「三陰交」は1穴で3つの経絡の効果が期待できる重要なツボということです。
「三陰交」は「婦人の三里」ともいわれ、女性の健康維持・増進にはかかせない大切なツボです。それは女性固有の子宮の成長と発育および機能を司るからです。したがって、小児期から老年期の様々な状態に対応することが可能なのです。「生理痛、冷え症」はもとより「更年期障害」にも用います。爽快な日々を「三陰交」から。一度試してみませんか。
◇毎日ライフ2004年4月増刊号◇より
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その2:労宮(ろうきゅう)
”癒やしの時代“といわれています。アロマセラピーをはじめ、様々な癒やしの術が行われています。そうした中で古くから癒やしの術として愛用されてきたのがツボ療法です。ツボ療法では、ツボへの快適刺激を通して心地よさを引き起こします。心地よい感覚が刺激部位から次第に全身に波紋のように広がっていきます。そうなると体の中をくつろいだ時間が流れ、自ずと心身がリラックスします。そうした効果を比較的簡単に引き出すことができるのが労宮のツボです。
労宮は手のひらの中央で手を握ると中指の先端が手のひらに当たるところにあります。労宮の「労」は労働の意、「宮」は皇宮や中室、中央の意、つまり労宮とは働く手の中央にあるツボということです。このツボは心包経という経絡に属しています。心包(しんぽう)という臓腑は心の臓と一緒になって精神機能を司(つかさど)ります。
労宮を中心に手のひら全体をやや強めに指圧をするととても心地よく、気持ちがゆったりとします。全身の緊張も次第にゆるんできます。宮労の指圧は、自分でやるよりは身近な人にやってもらうとより効果的です。
手は気持ちを伝えてくれる大切な部位です。また、相手の気持ちを受け取ることができる部位でもあります。そのことから医療の原点は「手当て」にあるとされています。手はまさに癒やしをする大切な部位です。
◇毎日ライフ2004年4月増刊号◇より
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家庭でできる「爽やかツボ療法」を紹介します。ここでは、「なんとかならないかなあ…」と思いつつも、ついつい放置しがちな、肩こりや疲労感などの不快症状に効果的なツボを、それぞれ1つ紹介します。ツボを1つ覚えるだけですから、簡単です。ツボを刺激することを生活の中に組み込み、健康増進を図ってください。自分で行うツボ療法で最も大切なことは、継続することです。
爽やかツボ療法
—日々を快適に—
明治鍼灸大学 健康鍼灸医学教室 矢野 忠
◇毎日ライフ2004年4月増刊号◇より
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その1:神闕(しんけつ)

人は誰でも健康でありたいものと願っています。わが国は「健康日本21」という政策を打ち出し、国民の健康を推進しようとしています。特に本政策は、生活習慣病の予防を意図したものです。高血圧症や糖尿病などの生活習慣病はいったん病になると治ることはありませんが、幸いにも本格的な病になる前の段階で生活習慣を改善すると健康を取り戻すことができます。そういったことから予防が可能な病気でもあります。しかし、特定の病気予防ということよりは、日頃から健康を維持し、増進することができれば、これにこしたことはありません。
東洋医学では、健康とは「気血(きけつ)」というエネルギーが過不足せず、しかも滞ることなく人体を流れている状態をいいますが、それには「五臓六腑」の機能がよい状態に維持されていることが必要です。その臓腑の機能を調整するツボが「神闕」です。
「神闕」は、腹の真ん中、つまり「へそ」に当たります。「神闕」の「神」は計り知れない変化という意、「闕」は重要なところの意、つまり「神闕」は計り知れない効果のある重要なツボということで、古来「養生」に用いられてきました。また、冷えたものの過食や寝冷えによる腹痛・下痢の軽減にもよく使用されています。臓腑の調子が良ければ、気血をよく産生します。すなわち体に元気を供給してくれることになります。
「神闕」には、「生姜(しょうが)灸」が効果的です。やり方は、少し温めた生姜を3ミリの厚さに切り、それを「神闕」の上に置き、その上に指頭大の艾(もぐさ)をのせてお灸を3壮(一度にすえるお灸の回数)しましょう。お腹の中が温まり、とても心地よい状態になります。週1回のペースで生姜灸を続けてみましょう。
◇毎日ライフ2004年4月増刊号◇より
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