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Q4.鍼灸はなぜ効くのですか?

1月 16th, 2008

A:
鍼灸は体表(皮膚、筋肉)に分布する感覚神経を刺激し、中枢神経系(脳、脳幹、脊髄)を介して作用すると考えられています。
 鍼を例に挙げると、鍼は体表の主に細い感覚神経を刺激し、中枢神経内に天然のモルヒネのような物質、いわゆる「内因性オピオイド」を放出させ、痛みを抑制する機構(「内在性鎮痛機構」という)を賦活(ふかつ)し、脊髄レベルで痛みを伝える神経の興奮をブロックします。また、同時に鍼刺激は体表の太い感覚神経をも刺激し、脊髄で痛みを反射性にブロックする機構を作動させます。これは、体の一部をどこかにぶつけた際に、その部位をさすると痛みが和らぐのと同じことです。いずれにしても鍼の鎮痛効果は、中枢からの抑制系と脊髄の抑制系の2重で痛みをブロックしますので、大変よく効きます。また、筋肉の深さまで鍼を刺すと、神経刺激を介して血行を改善させ、痛みの原因となっている発痛物質を洗い流してくれます。
 通常、激しい痛みがある場合、交感神経系は過剰に緊張し、末梢の血管を強く収縮させます。同時に、運動神経系も興奮させますので、筋肉は硬くなり、血管を圧迫して、血行を悪化させます。そうなると、発痛物質などの代謝産物が一層溜まり、さらに痛みを増強させることになります。これが、いわゆる「痛みの悪循環」と呼ばれる現象です。鍼は、この悪循環を断ち切ります。すなわち鍼刺激により内在性の鎮痛系を賦活させると共に、筋緊張を緩め、血行を増加させます。
 また、鍼は痛みに対する効果だけではなく、自律神経が支配する胃、腸、膀胱などの内臓や血圧などに対しても、中枢神経系や脊髄を介して反射性に機能を調整する作用があります。古来、「足三里(あしさんり)」の灸は胃腸の調子を整える効果があるとされてきましたが、そのことがヒトや動物の実験で明らかにされつつあります。さらに免疫系や内分泌系(ホルモン)への効果もあります。例えば生体防御を司るNK細胞(「殺し屋細胞」といわれ、侵入した異物や体内に発生した異物を処理し、敵から体を守る細胞)の働きが、鍼や灸で活発になるといわれています。このように鍼灸は身体をいい状態に保つ様々な調整系の働きを賦活することは間違いないようですが、残念ながらそれらの詳細な作用は明らかではありません。
 鍼灸治療では、病気の発生部位から遠く離れたツボを刺激することがあります。例えば、歯痛のときに手のツボを使用して痛みを軽減しますが、その説明は前述したように中枢神経系を介した鎮痛機序を考えれば容易に理解できます。しかし、それだけでは説明できない効果もたくさんあります。それらの不可思議とも思える効果は、「臓腑– 経絡経穴理論」によって簡単に説明できますが、現代医学としての解明は今後の研究課題です。とても魅力的なテーマです。

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